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男の私、女のおれ4 

注意:この回はほぼオリキャラで進行しており、イタキスキャラ出演はほとんどありません。
   苦手な方は、閲覧には十分お気をつけ下さい。
篤志は、どこだ。
どこにいる…。
考えろ、あゆみ…。
家にいるのが辛いと思うあいつがどこにいるか。
事件や事故に巻き込まれてなければいい。
家出と勘違いされて警察に補導されてなければいい。
だが、それでも独りぼっちで泣いている。

私は最早何も出来ないのに、それでも……

あいつを、捜してしまう。

無事を一秒でも早く確かめたい……。



あゆみは、夜の住宅街を篤志の名を連呼して走った。
近所迷惑など考えていられなかった。
そんなことよりもずっと篤志の泣き顔が頭から離れなかった。
もう泣き顔すら篤志は自分に見せないというのに。


いつから?


答えなんて分かってる。
お見合いをするといった時、何も言わせなかった。
西の話など一つもしなかったが、進めて良いと言えば、篤志にだってその意味は分かる。
篤志はひどく落ち込んだ様子を見せ、心は悲しませる痛みとそこまで悲しんでもらえる、即ち好きでいてくれる嬉しさに揺れた。
だが、流石に篤志の気持ちにも気づき、口には出さないが疎ましく思っている両親が篤志に家を出されるよう促がすことがないよう、トドメを刺さなければならなかった。
あゆみは、両親の結婚記念日に西を家に招いた。
両親は喜んだが、篤志は沈んだ。
ひどく辛そうな表情で、何かを自分に言いたいような様子を見せていたが、トドメを刺さなければならないのだと言い聞かせ、無視を貫いた。
だが、驚いたことに西は自分よりも篤志との会話を好んだ。
穏やかに笑いながら、篤志の学校生活の話に耳を傾け、また自分との話を時折混ぜていた。
両親も勿論篤志も気づかなかったが、あゆみは気づいた。
西は、篤志を気遣っていた。
何故なら、西はデートの話を篤志にはしなかった。

篤志の視線の意味にすぐに気づいたのだろう。
婚約者である自分の立場よりも篤志の心境を気遣い、その話をすることをよしとしなかったのだ。
だが、自分は篤志の心境よりも自分の立場を優先させなければならない。
「篤志、もう分かっただろう。西さんはとてもいい人だ。
この縁談は成立する。
お前も彼女見つければいい」
西が帰った後、部屋に戻ろうとした篤志にあゆみは言い放った。
確実に篤志を傷つける言葉は、トドメだろう。
篤志は何も言わず、部屋に戻った。
部屋で泣いているかもしれないと思ったが、それを確かめてはならない。
自分が背負ったものを考えれば、この道を歩くしかない。
(それでも私を好きでいろ、なんて言わない。
私以外を好きになれればお前はどれだけ楽になるのだろう)
心の中で、その問いを繰り返す。



それは、本当に正しいことなのか?



答えなど、出てはいても認めてはいけないとあゆみは言い聞かせ、自分も部屋に戻った。
心は重かった。
そして、篤志は自分の前では泣くことはなくなった。
豊かだった表情は沈むか作られるかのどちらかしかなくなったのだ。



篤志は、それがどれだけ私を打ちのめしているか、知らないだろう。



あゆみは奥歯を一度噛み締めた後、名前を何度も呼んだ。
やがて走り回っている内に大きな児童公園の近くに来た。
もしかしたら、ここかもしれない。


「篤志!!どこだ、篤志!!」


外灯の下、人影にあゆみは気づいた。
篤志は、そこにいた。
目を真っ赤にさせた篤志は、怯えたように自分のことを見つめていた。
そして、その隣にはなんと直樹がいた。
沙穂子とのデートの帰りだろうが、直樹の家からこの児童公園は離れている。
恐らく、沙穂子を送った帰り、タクシーを家のだいぶ前で降りて歩いていたのだろう。お金がないというくだらない理由ではなく、心情的なものであることは想像がついたが、今はそんなことはどうでも良かった。
あゆみは、息を整え、篤志を見た。
「篤志、こんな所にいたのか」
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