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雪が舞うように 

花の開花時期とお見合い時期が実は重ならないので、パラレルです。
サイトの名前にも使った雪見草のお話。
ひらひらと雪が舞うように花びらが舞う。
雪見草と別名があるその花の花弁は、初夏の季節にも関わらず、純白の雪のようだった。
隣にいる沙穂子さんが目を細める。
「綺麗ですね。私、花では空木が好きなんです」
清楚で品のある白い花。
確かに沙穂子さんにはよく似合う花だ。
なので、「沙穂子さんのような花ですね」と微笑んだ。
沙穂子さんは嬉しそうに微笑む。
政略結婚としか捉えていないおれには、その嬉しそうな微笑が胸に刺さる。
「直樹さん、あの、よろしければ……贈っていただけないでしょうか」
沙穂子さんの言葉におれは一瞬息を呑んだ。


駄目だ。
この花は。


頭に過ぎってはいけない言葉が過ぎる。
だが、振り払えない。
「分かりました」と言わなければならないのに、口は別のことを言い出した。


「沙穂子さん、代わりに芍薬はいかがでしょうか。
空木は苗木になってしまうかと思いますので」


沙穂子さんは少し残念そうな顔をした。


「そうですね。確かに空木は草花ではありませんものね」


だが、どうしても欲しいと食い下がることはないようだ。
彼女の性格からしてありえないというのもあるが、おれに嫌われたくないという想いもあるだろう。
…それを申し訳なく思う。


「芍薬も沙穂子さんに似合うと思いますよ」


おれは微笑み、沙穂子さんをエスコートしてその場を去った。
去ったその場でまだ空木の花弁は舞っていた。


あの花はお前に似合わない花だけど。
あの花はお前に贈ってはいけない花だけど。
おれにとって…あの花が持つ意味は、お前にある。
雪のように溶けてしまえばいいのに、溶けることなくおれの内にある感情。


……らしくもない感傷だな。


おれは沙穂子さんに気づかれないよう、苦々しい笑みを浮かべた。



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雪見草(空木)「秘めた恋」
芍薬「はにかみ」
上記の意味で用いています。
入江くんが知っていたのは、紀子ママからの強制的な知識ということで(笑)
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