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女のおれ、男の私1 

某投稿サイトで続き物として投稿させていただきました。
多少誤字や文法のおかしな所などの修正はしますが、基本そのままです。
展開等に変更はございません。
また、オリジナルキャラが出てきますので、苦手な方は閲覧には十分お気をつけ下さいませ。
その人物と直樹が出会ったのは、中学1年の時だった。
同じA組の女子だったが、成績が悪く1年でF組へ落ちた。
A組からB組またはC組に落ちることは、ままあることではあったが、F組に落ちる生徒は今までいなかった。
それに落胆した様子も見せなければ、周囲の目を気にすることもないその人物は、その1年後、B組へ上がる。
だが、高校ではE組で、その翌年はD組、最後の年はC組と中高6年間で全てのクラスを体験していた。
直樹とは違う意味で有名人だったが、直樹は特にその人物に興味がなかった。一時の努力で成績が上下する人間など、そもそも興味の範疇にない。何故毎年初めにその人物がどのクラスになるか話題になるのか分からない。全てはどうでもいいことだ。

直樹が初めて会話らしい会話をしたのは、琴子に勉強を教えた中間テストの直後。
写真を取り返した後、図書室に寄った時だった。
その人物は、窓際の机に座って本を読んでいた。
それだけなら素通りだが、何気なく目で追った本のタイトルを見て、驚く。
本は、アメリカの判例集だった。それも、原文。
英和辞典も手元に置かず、淡々と読み進めていたが、ページを捲る手つきからして、内容を理解した上で読んでいるのは明らかだった。

「何か用か、入江」

読む手も止めず、その人物はそう言った。

「別に何も」
「そうか。じゃ、読むのに邪魔だから話しかけないでくれ。
図書室の本じゃないが、読書には最適なんだ、ここ。」

淡々とした声音。
邪魔だという言葉は、気を引く目的もない本心のもの。
言われなくともそうするつもりだったので、直樹は何も言わずその場を離れようとした。
すると、背中から声を掛けられた。

「ああ、そうそう、相原さん、100番に入ったじゃないか。良かったな。
勉強を教えた甲斐があったんじゃないのか?」

それは誰にも言っていなかった筈。
何故、それを知っている。

思わず振り返ったが、その人物は本を読む手を止めない。

「建物の陰になって分からなかったと思うが、あそこで昼寝してた。
あんまりにも賑やかで、すっかり目が覚めてしまったが」

つまり、写真のことも知られているという訳だ。
話すつもりはなさそうだが……。

「しかし、相原さんも何でこんなのが好きなのか分からないや。
彼女、明るくて頑張り屋で可愛いのに、可哀想ったらない」

「人の心配するより自分の心配したら?」

「お前も含め、馬鹿は嫌いだ」

「C組に言われてもね」

「C組、ね。そういうくだらない思考があるから、A組の連中は馬鹿だと言うんだが」

淡々とその人物は直樹の言葉を否定した。

「まぁ、Bも似たようなものか。エリート意識が強すぎる。だからと言って、EとFは卑屈な奴が多くて馬鹿らしい。
CとDかな、人間的にまともなのが多いのって。
学校の成績ごときでくだらない。そんなもので一喜一憂する方がどうかしてる」

それで直樹は気づいた。

こいつ、意図的にクラスを渡り歩いている。
テストの点を自分で操作している。
全てを理解していなければ、それは出来ない。

「そーいうの、興味がないから」

それだけ言うと、読み終わったらしく本を閉じて立ち上がる。
長身の直樹とさほど背丈の違わないその人物は、元から直樹との会話にも興味を見出してないらしく、未練も感じさせない。

と、図書室の出口で立ち止まり、ニヤリと笑われた。

「入江、しっかり繋ぎとめておくんだな。
彼女は、いい子だよ。
私が男なら放っておかない」

好き放題に言われ、とてもじゃないが勉強する気にも読書する気にもなれずそのまま図書室を出た。
勿論、帰宅した後、琴子に当たったのは言うまでもない。


それが、その人物、大城あゆみとの本当の意味での出会いだった。


後に琴子への想いを後押ししてくれる重要人物になるが、この時直樹は知る由もなかった。
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